尾関章

「つくばエクスプレス(TX)」南流山駅で起こった「20秒早発」事件。定刻9時44分40秒発の下り電車が9時44分20秒に出発し、首都圏新都市鉄道が「お客様には大変ご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます」と公式サイトで謝った。 忘れてならないのは、鉄道の利用客が列車の運行にどのくらいの精度を求めているかを見極めることだ。駅の発車時刻表はふつう「……分」までしか書かれていないから、利用客は「……分」発の列車に乗ろうと思い、時計の表示が「……分」になる前にホームに着くよう心掛ける。だから20秒のずれに、それほどの意味はないように思われる。 さらに言えば、大都市圏の電車は数分間隔で走っている路線が多いから、1本乗り遅れてもその実害は小さい。現にTX南流山駅の時刻表をみると、早発事件があった当日の当該時刻、下り電車は4分間隔で運行されていたことがわかる。今回のニュースリリースには、当該列車に乗れなかったというクレームが同日夕現在でなかった旨が書かれている。「深くお詫び」の必要があったかどうかは考えどころだ。 もう一つ、心にとめるべき現実がある。電車が駅に停まるときの様相は日々変わるということだ。